今現在、注目を集めている多くの成長企業の中でも特に香港市場でH株とかレッドチップ
に分類されている企業の多くが、中国政府や政府関連機関の法人が株を過半数を保有
してますのでべったりくっついている関係にあるといえると思います。
政府としては将来的には売却する方向でほぼ固めているようですが、
保有株式数が厖大
となるため、需給バランスに多大な影響を懸念する投資家は反対しています。
事実、政府が売却の方針を発表した際に株式市場が大きく下落しました。こうしたことを
考慮して一度は売却を公表していた政府も、発言を後退させて決定を棚上げしているの
が現状ですので、国際的な市場として認められるようになるまでには至ってません。
もっとも、急には動けませんので、しばらくは政府が上場企業の過半数を保有していると
いう状態が続くことが予想されています。これらの国有企業は、その出資母体の組織で
あるため、その傘下にはいくつもの企業群を形成しています。
もともと国有企業ですから、こうした企業は一定の権益を独占していたわけです。母体と
なる持株会社を頂点としてピラミッド構造のように事業領域や担当分野の裾野を広げて
いる状態にあります。ですので、国有企業といっても昔の日本とは事情が異なります。
省庁関係の企業グループもあれば、地方政府が母体となっている企業グループもござい
ます。中国では、こうした資本構造を背景に資本注入といわれている事業資産の譲渡が
頻繁におこなわれています。この点は注意しなければなりません。
それは親会社から子会社に優良資を譲渡するという場合もございます。また、子会社の
不良事業を親会社が引き受ける場合や、子会社同士で事業の移管がなされることも
あります。こういったことに対して透明度は高くありません。
企業業績や経済環境に合わせて国や州政府の意向で事業再編をしています。持株会社
という機能を利用して、いかようにも優良企業がつくれるわけです。
赤字企業で株価が低迷している企業が、親会社からの資産注入で別の事業領域へ進出
するだとか、親会社へ赤字部門を売却するなどというこはよくあります。
もちろんだからといって急に業績アップするということはございません。事業資産や環境を
親会社が整えることは可能ですが、売上げを上げたり利益を出すのは企業努力です。
言い換えれば経営能力です。業績が株価に反映されるのには、それ相応の時間がかかり
ます。とはいえ赤字企業が一転して優良企業になる機会を与えるウルトラCが中国では
それほど珍しいことではありません。ある意味こわいです。
ですので、投資の際にもどんな企業グループが主要株主であるかという点には、チェック
と観察が必要だと思います。特に高速道路・鉄道、石油、発電などの産業インフラなどの
基幹産業は、つくる人も買う人も国がかかわります。政策や規制が業績を左右する分野
です。こうした分野では株主が業績に影響を持っているともいえます。
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